私が実際に読んで、参考になった本を紹介するシリーズ。
今回紹介するのは、2冊目。
「無痛分娩パーフェクトガイド 助産師&産科・麻酔科専門医が教える必須知識とアセスメント」です。
この本との出会い:院内の無痛分娩対応を見直したかった
✔転職した産院では、転職前の産院と無痛分娩の管理が違った。
✔自身の学びを深め、院内の無痛分娩の対応を見直したかった。
✔看護職向けの参考書を探していたところ、この本が発売されたため、購入した。
本の紹介
無痛分娩パーフェクトガイド
助産師&産科・麻酔科専門医が教える必須知識とアセスメント
ペリネイタルケア2023年夏季増刊
編著
田辺けい子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 准教授)
野口 翔平(埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科 助教)
出版
メディカ出版
<出版社からの内容紹介>
実践例や図解で妊産婦サポートがわかる!
分娩、麻酔の基礎知識や臨床対応はもちろん、妊娠中・産後までの妊産婦サポートを解説する。
無痛分娩だからこそ必要な助産師の役割や対応を、助産師&産科・麻酔科専門医である執筆者が熟練の目線で伝える。
無痛分娩を学びたいすべての助産師へ贈る一冊!
目次
助産編
①助産師の腕が試されるとき!
②妊娠期に求められる助産
③分娩期に求められる助産
④産褥期に求められる助産
⑤新生児に求められる助産
⑥助産師だからこそ伝えられる!
⑦海外のトピック
麻酔編
①麻酔に関わる助産師のアクション~知っておきたいこと
②無痛分娩の麻酔キソ知識~麻酔に詳しくなろう
安全で快適な麻酔下の分娩のためのチーム医療/協働と連携
私が感銘を受けた内容を紹介:無痛分娩も自然分娩も尊重されるべき
もう、最初も最初です。冒頭のページ。
無痛分娩を勉強しよう、無痛分娩が見れるようになろう、無痛分娩、無痛分娩!と思ってこの本を手に取ると…。
無痛分娩で産みたいと願う女性たちの気持ちと同様、本人がそう思う限りにおいて、絶対に尊重されるべきです。
こぐまの注釈
*「本人がそう思う限り」とは、本書でいう『「痛みを乗り越えて母になる」「生まれ来る子への愛情を深める痛み」言説』のことを指しています。
「無痛分娩で産みたい」という気持ちも。
「痛みを感じて産みたい」という気持ちも。
どちらも絶対に尊重されるべき。…という内容から始まるこの本。
すでに惹き込まれている。#無痛分娩パーフェクトガイド— 助産師こぐま🧸 (@koguma_hukugyo) June 24, 2023
無痛分娩で産みたいと思う女性の思いは、絶対に尊重されるべき。
同様に、痛みを感じて産みたいと思う女性の思いも、絶対に尊重されるべき。
無痛分娩か自然分娩という考えに、大きな壁を感じてるのは自分の勝手な思い込み。
どちらも経腟分娩であり、どちらも尊いことであり、無痛分娩だろうが自然分娩だろうが、私たちがするのは“助産”なんだと。
それに気付かせてくれた、衝撃を受けた文章でした。
特に、p50~p56「産婦と胎児が発するサインに対する感覚を研ぎ澄ます」の章は、必読です。
「こんな助産がしたかったんだ!」と頷きながら読みました。
そのうち分娩が進行してきたら、産婦と一緒にお腹に手を当てて「先ほどのお腹の張りと今と違いましたか?」(中略)など、経過の中で変化する身体を感じ取ってもらうような助産をしてください。
これは、本当に楽しいやり取りの1つです。
自分の体のこととはいえ、“陣痛の具合”は、ママはわかっているようで、よくわかりません。
発作時は一緒にお腹を触って、その硬さ、時間、赤ちゃんの触れ方を知ってもらって、時間をあけて、その変化を一緒に感じる。
すると、「さっきより硬いですね」「この辺りは、もう触れなくなりましたね」などの変化を一緒に感じたり、言葉にしてくれるようになります。
そこから、「さっきより腰が重い感じが…」「赤ちゃんが下を押している感じがします」など、重要な多くの情報を共有してくれるようになります。
そこで内診をして、開大や下降度から分娩進行をママに伝えると、ママは「この感覚がそうなんですね!」と納得される。
それはもう、「ママと助産師の協働」だと思っています。
もちろんお産はママが主役、主体ですが、それをサポートする助産師と一緒に、お産の進みを感じ取って、お産に至る。
これは本当に夢のような時間ですし、なんだか疲れを感じない、何かに導かれたかのようなお産になります。
お産に伴う諸々のことはしたけれど、不思議と疲れを感じない、何か大きな流れの中にただ身を任せたような一日だった。
あのお産は、忘れられないなぁ☺️— 助産師こぐま🧸 (@koguma_hukugyo) July 24, 2023
そして、ここで書くのも何なのですが、無痛分娩でなくてもこの“協働”はできます。
この“協働”は出来ますが、無痛分娩だと痛みが取れる分、落ち着いてママもママ自身の体の変化を感じ取ることが出来るのです。
助産師としては、無痛分娩中の助産、関わりを勉強しているつもりでも、それ自体が自然分娩での助産につながる。
結局のところ、無痛分娩も自然分娩も経腟分娩。
助産師はお産をサポートするだけなんです。
他にも、
“痛みに弱いタイプ”と早計に決めるのではなく、麻酔下の分娩後だからこその痛みの感じ方について思いを寄せるのも助産。
バースレビューは麻酔の評価ではない
無痛分娩されたママの「産後の気持ち」にも、思いを寄せられる助産師でありたいと思いました。
「無痛分娩で産んだこと」は、最終的にはママが自身の中で整理づけていく経験ですが、助産師が先入観を持って、決めつけるようなことは、決してあってはならない。
何のために助産師をしているのか。
ママを傷つけたいからなのか。
いいえ!ママの力になりたいからです!
無痛分娩という切り口を通して、助産師として大事にしたい助産、分娩管理、母子との関係などを、深く優しく学べる内容でした。
感想:無痛分娩に必要な知識を。無痛分娩に寄り添う気持ちを。
これまで気持ちや考えばかり書いてきましたが、気持ちばかり語っても助産は出来ません。
「無痛分娩の分娩経過」「麻酔の副作用」「回旋異常が起こりやすい理由と対応」など、お産が安全に経過できるよう具体的な観察・介入ポイントもしっかり解説されています。
第2章の麻酔編では産科麻酔科医が執筆されており、硬膜外カテーテルの挿入法、麻酔の続け方の種類、麻酔薬の紹介など、一度は目を通すべき内容が並びます。
無痛分娩の禁忌・重篤合併症など、必ず把握しておくべき章もあります。
知識に裏付けされたケアを提供する。
気持ちに寄り添える助産をする。
無痛分娩に関わるのであれば、助産に悩むことがあったなら、ぜひ読んでおきたい一冊です。
著者の他の書籍を紹介
田辺けい子 氏
・「コロナ」と「看護」と「触れること」(Nursing Todayブックレット)
・無痛分娩と日本人(Nursing Todayブックレット)
野口翔平 氏
・「硬膜外無痛分娩 安全に行うために」
まとめ:無痛分娩を通して、“助産”を学ぶ。
「無痛分娩パーフェクトガイド」には、「2020年のお産全体の8.6%が無痛分娩」「出産を2023年に控えている妊婦の23%が無痛分娩を希望している」と記載されています。
無痛分娩は、分娩方法の選択肢として珍しいものではなくなりました。
Drに聞く前に、まず助産師に話を聞いてくるママも多いです。
無痛分娩予定で、いざ入院したときに、不安を訴えるママもいらっしゃいます。
「いつ無痛に出来ますか?」「どのくらい痛みがとれますか?」「陣痛は弱くなりますか?」「いつ産まれますか?」…
当たり前に感じるその不安に対して、その対象に合わせた声かけが出来るのは、助産師です。
自然分娩はもちろん、無痛分娩でも、助産師は助産ができる。
自然分娩でも無痛分娩でも、自信を持ってママの前に立つために。
無痛分娩を学び、助産を学ぶ。
自然分娩での助産、無痛分娩ならではの助産を知る。
お産は、学ぶことばかりです。