あなたは、“母子特化型訪問看護”を知っていますか?
母子の支援に特化した訪問看護―
ハイリスク妊産婦や医療的ケア児が増えてきている背景から、母子訪問看護の需要は今後増えていくと思われます。
そんな母子訪問看護の道に、今後進んでいくことを決めました。
当サイトでは今後「母子訪問看護カテゴリー」を作り、“助産師こぐまが母子訪問看護をしていく話”を投稿していこうと思っています。
はじめの1記事目は、「母子訪問看護を目指したきっかけについて」。
お産が好きで、産院で働くことが大好きだった私が、なぜ母子訪問看護の道を選んだのか。
自分語りになりますが…。
母子訪問看護の道を考えている方の参考になると嬉しいです。
**補足**
「母子特化型訪問看護」について、もう少しだけ詳しく書いておきます。
「母子支援特化型訪問看護」と呼んでいるステーションもありますが…。
私としては、言葉が難しくなく、シンプルな「母子訪問看護」と呼ぼうと思います。
「リニエ訪問看護ステーションあいら」さんのサイトでは、母子訪問看護はこのように紹介されています。
母子訪問看護は、妊娠・出産・育児に不安を抱えていたり、身近に相談できる人がいなかったりして相談や交流の場が必要な方や、双子の赤ちゃん、障がいや病気を抱える赤ちゃんなど出産や育児に支援が必要な方に対して、助産師や看護師、療法士が自宅を訪問してサポートを行います。
それでは、本編へ行きましょう。
前職(産院助産師)を続けることへの不安が出てきた
前職は、慢性的な人手不足でした。
田舎の産院なので給料は高くなく、人手不足で正社員は休みが少ない。
隣の地域の産院が分娩取扱中止した影響で、患者数・分娩数は増え、スタッフにかかる負担は増えていきました。
病棟を1人で見たり、1人+産科未経験者や、1人+看護助手で見ることがほとんど。
安全面に不安を感じることが増えました。
お産は好きですが、母子を危険に晒すお産はしたくない。
「お産は命がけ」…とは違う次元で、元から危険な管理体制下でお産を扱うことに、ストレスを感じていました。
「何かあれば、助産師資格も危うくなるよ」と言われたのがきっかけで、自分の今後を考えるようになりました。
とはいえ、未就学児を含め、子どもが3人いるとなると、「仕事と家庭の両立」という問題が出てきます。
ガッツリ夜勤をする正社員の助産師求人はありましたが、厳しい。
パートで良さそうな助産師求人もありましたが、毎日通える距離ではなく、厳しい。
どうしたものか…と考えながら、仕事に忙殺されていました。
「母子訪問看護」という言葉を思い出す
そんな時に、ふと浮かんだのが「母子訪問看護」という言葉です。
X(旧Twitter)で信州大学の村上先生の投稿を読んだりスペースを拝聴していたため、「母子訪問看護」という言葉を知っていました。
なんとなくですが、母子訪問看護が私に合っている気がしました。
看護学生時代、一番好きな実習は在宅看護実習(訪問看護)でした。
看護師をしていた頃は、カンファレンスがとにかく好きで、時短勤務だったこともあり、カンファレンスへの参加数はトップクラスでした。
リハビリスタッフ、栄養士、MSWを見かけると、大抵自分から話しかけていました。
小話ですが、記録をしていたらMSWが寄ってきたので、用件を尋ねたところ…。
「こぐまさん、何かお話ししたいことがないかな~と思って来た」と言われたことがあります。
なんだか距離が縮まったようで、嬉しかったですね!
他職種の視点では、患者さんがどのように見えているのか、それを知るのが楽しかったです。
助産師に復職してから感じたメンタルケアの難しさ、連携の重要さ
看護師で3年働いた後、助産師に復職しました。
産科は退院後を見据えた指導に加え、産後外来、1か月健診でその後のフォローをしていきます。
自宅で育児がスムーズにいくのかを、ママやスタッフ間で話しているうちに、いつしかメンタル担当のようになっていました。
ほぼ日勤専従ということもあり、保健師との連携はほとんど私がしていました。
産院で出来る育児支援、メンタルサポートというのは、ここで一言で言えるものではないです。
産院での限られた時間で最大限サポートができるよう、ママや家族、地域保健師と関わっていきました。
いかに地域保健師がスムーズに介入できるように繋げていくか…、地域保健師に対応を丸投げしていないか…迷うことが多かったです。
メンタルケアの悩みをきっかけに見聞を広げる
産院でのメンタルケアの悩みをXで投稿していると、一緒に問題を考えてくれる助産師仲間と繋がることが出来ました。
母子保健担当の保健師さんと繋がることも出来ました。
産後の心のケアをしている助産師、看護師や、助産院さんの動きも知りました。
退院後のケアは、産院助産師にとっては「知っているようで知らない世界」。
もちろん興味があると同時に、楽しそうだと感じました。
産院を退院した母子が、実際に家庭でどう過ごしているのか…知りたい、見たい。
そして、妊娠期~分娩期~産褥期を産院でずっと見てきたからこそ、それが家庭でのケアに活かせると思いました。
“助産師こぐまの強み”が、母子訪問看護につながる
私には看護師歴もあるので、訪問看護界に入っていくことに、それほど抵抗を感じなかったのも強みだと思います。
きっと助産師だけの職歴だったら…、訪問看護に行く勇気はなかったでしょう。
また、辞めていく同僚看護師が、「本当は産科に関わりたい」と言いながら他科へ転職していったのも、重く響きました。
もし、産院でなくても産科に関われる働き方があれば、この方は今後も産科で働けたのかな…と何度も思いました。
そして、私の住んでいる地域は、産後ケア普及率が低く、下から数えるレベルです。
「母子訪問看護」の認知度はさらに低く、全く知られていないのが現状。
誰かが始めなければいけない。
その「誰か」になれるのは、この地域では私なんじゃないか―
と、傲慢にも考えてしまったのです。
もともと訪問看護には好印象を持っていて、看護師としての技術もある。
これまでのキャリアを通して、いくつかの産院と細いながらもすでにつながりがある。
周産期メンタルヘルスケアについては、対応に悩みながらも、たくさん勉強してきた。
私自身が産後うつになりかけて、私自身が地域保健師や精神科に助けられた。
私だから出来る、この地域の母子訪問看護の“一歩”を作れるのではないか―
これが、私が母子訪問看護を目指したきっかけです。
母子訪問看護の求人探し、応募、面接、採用へ
早速!…と「母子 訪問看護」で求人を探しましたが、ありません。
「訪問看護」で求人を探すと、思っていたより多くの数が出てきました。
看護協会のeナースセンター、看護師転職サイト、求人広告に検索をかけて、ピックアップ。
正社員9件、パート9件の求人あり。
そこから、「施設メイン」「明らかに高齢者メイン」の訪問看護ステーションは除きました。
現実的な話になりますが…「時給が今より低い」「定時が18時」の求人も除いてみました。
すると、正社員3件、パート5件。
吟味するのにちょうど良い求人数です。
ただ…前職への名残惜しさがあり、転職にまだ踏み出せずにいました。。
すると、X(旧Twitter)で元転職エージェントのきたじーさんから、「本業が2つあっても良いじゃないか」とアドバイスをもらったことで、決心しました。
産院助産師×母子訪問看護のWワークが生まれた瞬間です!
産院助産師とダブルワークをするために、まずはパート求人5件に応募しました。
結果はこちら。
→時給が上がるが、訪問時間のみが計算されるため、収入は激減。
「母子に興味がある」と言われていたが、興味があるのは母子ではなく「小児」。
B訪問看護→ズバリ、今後母子訪問看護をする予定がない。
C訪問看護→書類選考で落ちる。
D訪問看護
→時給アップ。まさに母子訪問看護をしようと考えていたところ。
ダブルワークもOK。話がトントン拍子に決まる。
E訪問看護→D訪問看護での採用が決まった後に返事が来たので、お断りいたしました。
5件の応募、3件の面接を経て、D訪問看護ステーションへの就職が決まりました。
D訪問看護は、正社員求人も出しており、正社員登用も可能とのこと。
「ご縁があった」としか思えないほどのマッチングでした。
10月の面接時点で4月入社可能と伝えていたので、そのまま4月入社で決定。
11月某日、産院にその旨を伝え、3月退職の運びとなりました。
3月までは産院助産師メインとなり、4月からは訪問看護メインとなります!
まとめ:2024年4月、母子訪問看護はじめます
母子訪問看護の可能性を私自身が知り、この地域に広げていきたい。
母子訪問看護が広がることで、妊娠中の療養生活や、産後ケアの選択肢を増やしたい。
母子訪問看護という働く場が出来ることで、産科に関わって働きたい人の働き口を作りたい。
母子訪問看護どころか、訪問看護も未知の世界。
わからないこと、悩むこと、もしかしたら後悔することもあるかもしれませんが…。
どこかで困っている母子のために、ママのために、自分が何を出来るのかを第一に、頑張っていこうと思います。
自分語りになりましたが…
最後までお読みいただきありがとうございました。
母子訪問看護がんばります!