もう一度助産師として働きたいけど、ブランクがあって心配です!
その気持ち、よくわかります。
こぐまも3年のブランクの後、助産師に戻りました。
助産師は、女性だけがなれる職業です。
働く助産師の数は、女性のライフステージに大きく影響されます。
結婚、育児のタイミングで、一度助産師を辞める方も少なくないです。
育児がある程度落ち着いた頃、助産師に戻りたいと思う。
でも、お産の怖さを知っているからこそ、お産現場に戻る勇気が持てない…。
そんな潜在助産師は全国に32,830人いると推察します。
就労助産師37,940人に近い人数です。
こぐまとしては、戻りたい気持ちがあるなら、また助産師として働いてほしいです。
それは自分の自己実現のためにも、産科医療の人手不足解消のためにも、そう思います。
自分が復帰することで、その職場の産科医療が安定する、向上する。
職場の産科医療がより良くなることで、その地域の産科医療が安定していく。
ブランクがあっても戻りたいと思う潜在助産師さんは、助産師として復帰してほしい。
これは、このサイトのコンセプトそのものです。
この記事は、このサイトに来てくれた潜在助産師さんに、必ず読んでほしい記事です。
この記事が、復帰したい潜在助産師さんの背中を押せる記事になると信じて…。
令和2年の就業助産師、潜在助産師、院内潜在助産師の人数(推定)
言葉の定義
就業助産師とは…現在助産師として働いている方
潜在助産師とは…助産師の資格を持っているが、現在働いていない方
院内潜在助産師とは…助産師免許を有している就業者のうち、助産師業務を行なっていない助産師(日本看護協会より)。この記事では、施設内潜在助産師と同義とします。
就業助産師数
就業助産師は、平成28年35,774人、平成30年36,911人、令和2年37,940人と増加。
(令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況)
潜在助産師数
潜在助産師数は、統計元と正確な数があるデータは見つかりませんでした。
参考となる情報はあったので、以下に載せます。
「助産師の資格を有している者のうち、潜在助産師数は、就業助産師数とほぼ同数の26,000人ほどであり、この潜在助産師の有効な活用が望まれている。」
(助産師教育の現状と将来展望)「約半数の助産師が潜在化」より、「75歳以下の助産師の割合は、勤務助産師が52%、潜在助産師が45%」「潜在助産師は約35,000人」
(今、必要なのは助産師だ──With Midwife岸畑氏「寄り添うことで救える命がある」)
「ほぼ同数」「45%」という数字は近いです。
数字として明記された「45%」を当サイトでの参考値とします。
院内潜在助産師数
院内潜在助産師数も、正確なデータが見つかりませんでした。
参考となる情報を、以下に載せます。
「2012年の衛生行政報告例では、助産師免許を持って働いている人は4万9,000人いるのですけれども、そのうち助産業務を主として働いている人は3万5,000人でございます。
つまり71%が助産業務を主として働いているのですが、保健師、看護師の免許を持っており、保健師、看護師として働いていらっしゃる方がほかに30%近くいるということ。」
(2015年8月31日 第1回周産期医療体制のあり方に関する検討会(議事録))
新潟県を対象とした調査論文では、新潟県内の助産師数429人、施設内潜在助産師数94人(21.9%)という結果がありました。
(助産師の専門性発揮に向けた施設内潜在助産師を有効活用するための支援モデルの提案)
第1回周産期医療体制のあり方に関する検討会より、院内潜在助産師数は就業助産師数の29%。
新潟県での調査論文より、施設内潜在助産師数は、就業助産師数の21.9%。
ここでは、より母数の多い「第1回周産期医療体制のあり方に関する検討会」での29%を参考値とします。
当サイトが推定する潜在助産師数、院内潜在助産師数
これらのデータから、当サイトが推定する潜在助産師数、院内潜在助産師数はこちらです。
助産師の45%が潜在助産師というデータから、潜在助産師数は32,830人。
院内潜在助産師数は、就業助産師数の29%である11,000人。
(あくまで割合のデータを元に算出したものです。正確な値を保証するものではありません。)
つまり…
助産師として働いている人は、37,940人。
助産師の資格があるけど、働いていない人は32,830人。
助産師以外の仕事をしている人は、11,000人。
ブランク何年で復帰してる?復帰で不安なこと3選!
ブランク何年で復帰、復職しているのか?
看護師・保健師として働いていても、「助産師として働いていない」期間をいいます。
お悩み掲示板やインタビュー記事、SNSで投稿されたコメントから、まとめました。
5年で復帰:お産になれば体が動く。体で覚えている。
10年で復帰:すぐにはついていけないけれど、徐々に慣れていける。
20年で復帰:お産以外の係について、お産係をフォローする。
ブランクが長くなるほど、お産の感覚を取り戻すのにやっぱり時間がかかるね。
それでも、いち助産師として活躍できそう!
こぐまはブランク3年で復帰しました。
「意外と覚えている」というのが、正直な感想です。
ブランクからの復帰で不安なこと3選
ブランクがあると、復帰にあたり不安なことは多かったです。
特に不安だった3つのことを解説します。
技術
内診技術、分娩介助技術、これらはお産に携わる助産師の肝となる技術です。
やり直しのきかない部分だからこそ、一番不安になる技術です。
妊娠期ケアでは、保健指導、NSTなどがあります。
保健指導は、正しい知識に加えて対象者に合わせた介入が必要です。
NSTは、トランスデューサーと陣痛計を適切に当て、胎児を評価します。
産褥期ケアでは、授乳・育児指導、メンタルサポートなどがあります。
その日の乳房乳頭状態に合った授乳介助が必要で、一日の中でも変化します。
産後ママの全身状態はもちろん、心理面からの観察も不可欠です。
例を挙げれば、キリがありません。
それだけ助産師時代に身につけた技術は多く、大事なものです。
だからこそ、技術が衰えているだろうことに、不安になります。
知識
こぐまがブランク中に変わったことが、こちらです。
・CTGモニターの判読方法が、レベル分類になった。
・妊娠高血圧症候群が、PIHではなくHDPとなった。
・胎児発育不全が、IUGRではなくFGRとなった。
変わったことを知らないままだと、産科チームの話についていけません。
何が変わったのか、自分は「何を知らないのか」なんて、わかりません。
「わからないことがわからない」という状況だと、復帰が怖くて当たり前です。
生活
長年働いていなかった方が働き始めると、生活にも大きな影響を与えます。
育児に余裕が出てきた頃に復帰したとても、多少なりとも家族に負担を与えるでしょう。
それまで助産師以外で働いていたとしても、働く環境が変わるだけでストレスがあります。
助産師として復帰することで、今の生活スタイルを変えてしまうことに抵抗はないか。
負担が増えるのは一時的かもしれませんが、それに自分や家族が耐えられるのか。
復帰でも転職でも、家族への影響を考えて踏み出せないママは多いです。
自分だけの問題ではないからこそ、躊躇してしまいます。
ブランクのある助産師が復帰を成功させるポイント【技術編】
基礎看護技術
助産師の勤務歴があるということは、基礎的な看護技術は残っているはずです。
基本的なバイタルサイン測定と、コミュニケーション能力。
これが一番基礎的で、これさえあれば最初は何とかなります。
採血や点滴ルート確保など、痛みを伴うものはプレッシャーがかかります。
ただ、意外と体が覚えていて、復習すれば出来る部分もあります。
どうしても不安であれば、基礎看護技術を復習するためのセミナーがあります。
注意点としては、復職のタイミングにちょうど良くセミナーがあるとは限りません。
自分にはセミナーが必要だと思うなら、早めに看護協会の研修一覧をチェックしましょう。
求人を探す目的でも、看護協会に直接足を運ぶのはおすすめです。
日本看護協会:重点政策2.専門職としてのキャリア継続の支援/就業・復職支援等
産科技術、助産技術
産科特有、助産師特有の技術で、妊産褥婦さんや新生児のケアについてです。
産科・助産師を対象とした復職支援セミナーは、本当に稀です。
これまでで、CTG判読、授乳介助のセミナーは見たことがあります。
ただ、一番不安な分娩介助技術についてのセミナーは見たことがありません。
助産師の復職支援セミナーがあったとして、参加出来ればラッキーくらいで思いましょう。
助産技術については、参考書などで復習したり、復帰後先輩助産師に教わりましょう。
こぐまは、3,4件お産を取り上げたあたりで、感覚が戻ってきた感じがしました。
お産は怖いです。
どうしても分娩介助に不安が強いようなら、分娩係以外をお願いするのもありです。
外来やベビー係を担当して、少しずつ臨床やお産の感覚を思い出す。
そして、徐々に分娩係をすれば良いと思います。
分娩係以外を希望するなら、採用面接の段階で伝えましょう。
ブランクがあっても、経験があれば分娩係の即戦力として考えられがち。
お産への距離感については、面接段階で伝えておくと、働いてからが楽です。
ブランクのある助産師が復帰を成功させるポイント【知識編】
医療業界の変化は早いです。
復帰前に、最新の産科知識を学びきるのは不可能です。
最新の産科知識ではなく、基本的な産科知識であれば勉強すれば復習できます。
潜在助産師さんにおすすめの本、参考書
ブランクがある潜在助産師さん向けに、おすすめの本を紹介します。
病気がみえる
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イラスト、図解が多いです。
助産学生でもわかるよう易しく説明されており、要点をおさえています。
1冊で基本的な産科知識が復習できます。
ペリネイタルケア
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基本的な知識を踏まえつつ、応用的に症例を検討したり、現在の産科の風潮がわかります。
“助産雑誌”なので厚すぎず、気軽に読みやすいのに、内容は洗練されていて勉強になります。
復職におすすめのペリネイタルケアはこちらです。
こぐまが実際に使っているのは、こちら。
図説 CTGテキスト
徐脈の機序から学びなおせます。
徐脈出現時に「何が起こっているのか」アセスメントでき、次の対応につながります。
復帰前は基本の復習。復帰後に最新の知識を学ぶ。
復帰前の勉強のポイントは、「基本的な産科知識の復習」です。
最新の産科知識は、復帰してからでも遅くはありません。
現場で実際に使われている用語、薬、器械などに触れましょう。
働く中で、現役助産師さんに教えてもらう方が、“現場で必要な”最新知識を学べます。
ブランクのある助産師が復帰を成功させるポイント【生活編】
復帰はじめは、夜勤なしでゆるく働く
はじめからガッツリ働くのは大変です。
まずはリハビリとして、ゆるく働くことをおすすめします。
可能であれば、日勤のみのパートで働くのがおすすめです。
勤務日数、勤務時間に融通が利くことが多いです。
常勤でしか求人がないこともあります。
しばらくは日勤のみで働き、慣れてから夜勤開始にしてもらえるのかを確認しましょう。
夜勤があるかないかでは、働くことへの労力、プレッシャーが段違いです。
助産師の仕事と生活の両立が、現実的に出来るのかを考える
新しい環境で働き始めると、自分や家族の生活に多少なりともストレスが生じます。
時間的ゆとりが少なくなります。
特に働き始めはつらいと思いますが、それ以降は両立できそうなのか、よく考えるべきです。
生活と両立するためのポイントを、別記事で詳しく解説しています。
仕事探しで考えるポイント、勤務中の心がけなど、仕事面ではこちらの記事で詳しく書いています。
家事育児のサポートや、気持ちの持ち方など、家庭面ではこちらの記事で詳しく書いています。
「私は働くために生活していない。生活のために働いてる。生活の方が大事。」
ベテラン助産師から言われて、心に残っている言葉です。
生活があってこその仕事。両立できるかは、よく考えましょう。
ブランクのある助産師におすすめする求人の探し方
こぐまがおすすめしている求人の探し方は、これらの併用です。
・ハローワーク
・看護師転職サイト
・求人広告サイト
・eナースセンター/看護協会
・知人の紹介
・直接応募
この中で、ブランクがある潜在助産師さん向けなのは、こちらです。
・ハローワーク
・看護師転職サイト
・看護協会
この3つをおすすめする理由を解説します!
ハローワーク
ブランクのある求職活動全般をサポートしてくれます。
履歴書の書き方、面接の受け方などは、ハローワークが得意とするところです。
ただ、ブランクOKの助産師求人は希少です。
オールマイティーなハローワークだからこそ、希少な助産師求人は見つけにくいです。
ハローワークだけで助産師に復帰するのは、厳しいです。
求職活動自体を最初からサポートしてほしい人には、ハローワークはおすすめです。
看護師転職サイト
ブランクOKの希少な助産師求人を探すためには、看護師転職サイトが一番有効です。
履歴書の自己PRの書き方や、面接対策もしてくれます。
ブランクOKと書いていなくても、条件に合う助産師求人があれば、そこへ交渉もしてくれます。
希少な助産師求人がなかった場合、代わりの求人を提案してくることがあります。
パート希望なのに常勤求人を提案したり、看護師の求人を提案されることもあります。
それで自分が良ければいいですが、全く希望に合わなければ、断ることも必要です。
ブランク明けの復帰を目指すなら、看護師転職サイトは必須です。
看護協会
看護協会の窓口相談は、意外とおすすめです。
おすすめする理由2つを解説します。
地域の病院事情に詳しい
求人数は、正直少ないです。
それでも、「この地域で、お産をしているところ」と言えば、病院を探し出してくれます。
その地域に特化している協会だからこそ、完全に地の利があります。
現役の現場職員とも、同じ看護職という立場でつながりがあり、病院事情にも通じています。
看護師転職サイトやハローワークに求人を出していない病院にも、詳しいです。
復職支援セミナーを開催している
看護協会では、看護師、助産師向けのセミナーを開催しています。
復職支援セミナーは、看護協会主催であることが多いです。
もちろん復職支援セミナーの紹介もしてくれます。
新人助産師向けの名前だけど、復職のためにもなるようなセミナーも紹介してくれます。
助産師の求人にこだわっていることを伝えれば、助産師以外を提案してくることはないです。
看護協会は就職ありきで考えていません。
「今は就職しない方が良いです」と言われたこともあります。
求職活動中に客観的な考えを聞くのは、とても参考になります。
ガツガツ求職活動するというよりは…。
余裕を持って、第三者の意見を聞きながら求職活動する感じだね。
まとめ 復帰したい潜在助産師さんを応援します!
就業助産師数は、令和2年37,940人。
潜在助産師数は、約32,830人。
院内潜在助産師数は、就業助産師数の29%である11,000人。
技術:セミナーに参加。参考書で復習。復帰後に教わる。
知識:参考書で復習。復帰後に教わる。
生活:おすすめはパート勤務。常勤でも夜勤は慣れてから。
<ハローワーク>
求職活動全般をサポートしてほしい人におすすめ。
ブランクOKの助産師求人は見つかりにくい。
<看護師転職サイト>
求職活動をサポートしてくれる。
ブランクOKの助産師求人が見つかりやすい。
<看護協会>
地域の病院事情に詳しい。
復職支援セミナーを開催している。
ブランクがあって助産師に復帰するのは、勇気のいることです。
「お産は怖い」とわかっているからこそ、不安が強くなります。
一方で、「怖い以上の喜び、やりがい」を知っているからこそ、復帰したい気持ちを諦められない。
こぐまはブランク3年で復帰しましたが、復帰して良かったです!!!
看護師時代も仕事の達成感はありましたが、キツさ以上の喜びは少なかったです。
助産師に復帰してからは、キツさ以上に喜び、やりがいを感じる日々です。
助産師に復帰したその日から、即戦力になることは出来ません。
ブランクの年数や、お産との距離感を考えて、徐々に現場に慣れていけばいいと思います。
復帰したいと思っても、何もしなければブランクが長くなるだけ。
悩んでいてもいいから、まず一歩ふみ出してみよう。
ブランクがあるけど助産師に復帰したいあなたを、こぐまは全力で応援します!