産婦人科の夜勤は、他の科とどう違うのか知っていますか?
『お産があるかないか』以外にも、産婦人科ならではの仕事は多いです。
逆に、産婦人科だからこそ“無い”仕事もあります。
こぐまは、総合病院の助産師、看護師、個人病院の助産師で勤務経験があります。
産婦人科の夜勤ってどんな仕事内容だろう?
と思った方は、ぜひ読んでみてくださいね。
産婦人科の夜勤、興味はあるけど…
そもそも子どもがいるから難しい…
子持ちの助産師ママ、看護師ママは、夜勤が難しいことが多いです。
夜勤と家庭を両立するための働き方を、こぐまの実体験、同僚の経験談などからご紹介します!
難しい働き方をすることはおすすめしませんが、
「もしかして夜勤できるかも?」と思ったのなら、考えるヒントにしてみてください。
夜勤が出来るなら…
お産にも立ち会えるし、夜勤手当ももらえるし、日中ゆっくりできるし♪
嬉しいことも多いですよ。
産婦人科夜勤の仕事内容は、他の診療科夜勤の仕事内容と何が違うの?
産婦人科夜勤と、他の診療科夜勤とで、仕事内容が同じもの
まずは、産婦人科夜勤と、他科夜勤とで、仕事内容が同じものを挙げます。
・検温
・採血
・点滴
・見回り
・配膳
・下膳
検温に関しては、他科より少ない傾向にあります。
採血は、産後必ず採血をするタイミングが決まっているので、休日であっても採血があります。
妊婦さんでも、使用している薬剤によって定期的に採血があります。
産婦人科における点滴は、帝王切開に関わる点滴、つわりや切迫症状に対する点滴管理がほとんどです。
他科よりパターンは限られますが、点滴管理は必要です。
見回りは、主に妊婦さんのみです。
産後のママは、3時間ごとに授乳をされるので、そこで母児の安否確認をします。
配膳下膳については、しなくて良いこともあります。
配膳だけして、ママが自分で下膳されることもあります。
個人病院であれば、調理担当スタッフが配膳、下膳されることもあります。
産婦人科夜勤と、他の診療科夜勤とで、仕事内容が違うもの
次に、産婦人科と他科の夜勤で、仕事内容が違うものを紹介します。
産婦人科、内科、外科で勤務していたこぐまの主観ですので、ご了承ください。
<産婦人科夜勤にないもの>
・食事介助
・排泄介助
・配薬
・認知症対応
産婦人科に入院されている方は、基本的にADLが自立しているので、自分で食事が出来ます。
トイレも自分で行けます。
内服も自己管理できます。大事な薬だけ、内服の確認をします。
認知症ももちろんないですし、帝王切開術後のせん妄もあまり見られません。
<産婦人科夜勤特有のもの>
・分娩
・授乳介助
・育児支援
・新生児の世話
・電話対応
・診察介助
・緊急手術(帝王切開)
・緊急輸血
分娩は、もちろん昼夜問わずあります。
授乳の介助や、育児のサポート、新生児の世話についても、昼夜問いません。
電話対応というのは、「陣痛が来たかも。」「出血があった…。」などの対応です。
総合病院であっても、妊婦さんからの電話は、救急ではなくて産婦人科病棟が電話対応します。
夜間の外線は、とにかくビクッ!とします。
産婦人科特有の診察として、内診があります。
救急外来には内診台がありません。
内診を必要とする診察がある場合には、分娩と関係なくても産婦人科病棟に来ていただき、そこで医師の診察介助を行います。
緊急手術、緊急輸血に関しては、異論がある方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに他科でも緊急手術、緊急輸血があります。
ただ、産婦人科でのそれは、緊急性が違うと思っています。
分娩室で児心音低下などの異常があり、緊急帝王切開となった場合、超緊急に入室することがあります。
手術が決定して、入室まで10分。そういうスピード感です。
これを、夜間スタッフ数が少ない病棟で対応します。
緊急輸血に関しても、無事出産が終わったと思った数十分以内に、輸血用のルートをとっていた。
そういう事態と隣り合わせなのです。
他科で、超緊急に入室することが無いとはいいません。
が、それが病棟で発生することはかなり稀で、メインは救急外来での対応となると思います。
他科の緊急輸血といっても、病態からある程度予想されるものです。
夜中採血したら貧血がひどくて、夜中のうちに輸血をするという事態は、あまり無いです。
もちろん無いとはいいませんが、ある程度予想できます。
産婦人科では、「正常に分娩が進行していた」「無事に出産を終えた」と思った数分後、数十分後には、緊急手術や緊急輸血が必要になる。
それがスタッフの少ない夜中に、病棟で起こり得る。
そこに“産婦人科夜勤の恐ろしさ”があると思っています。
待って、待って。
産婦人科夜勤、めちゃくちゃ怖いんですけど…!!
おどかしちゃって、ごめんなさい。
大丈夫、誰でも最初はそんな対応は出来ないよ。
日々の業務をこなして、それを夜中も同様にするだけのこと。
分娩を扱う以上、昼夜関係なく、そういう事態への対応は考えないといけないよね。
そう、そうよね…。
でも怖いなぁ。
「お産が怖い」という気持ちは、大事だと思います。
お産を扱うプロとして、「お産を甘くみない」ことは大事。
産婦人科夜勤の怖いところを話しちゃったけど、夜勤の楽しさもお話しします。
産婦人科夜勤をしていて、良かったこと、おすすめできるポイント
お産がなければ、ゆっくりママと関わることができる
産婦人科夜勤は、お産がなければ、他科よりもゆっくり出来ます。
夜中授乳にくるママの対応をするだけ、ということもあります。
日勤では仕事に追われて、ゆっくりママと関われなくても、夜勤ならゆっくり関われる。
もちろんママの休息が第一ではありますが、余裕を持ってママと接することも出来ます。
お産にあたりやすい
またお産の話になりますが、お産は昼よりも夜の方が多い傾向があります。
単純に日勤勤務時間より、夜勤勤務時間の方が長いということもあり、夜勤をするとお産にあたりやすいです。
お産が好きな人、お産に関わりたい人にとっては、夜勤は好きなシフトかもしれませんね。
こぐまが日勤のみで働いていたときは、全然お産にあたらなくて、寂しかったです。
怖いこともあるけど、なんだかんだお産に関わりたいんだね。
分娩手当がもらえる
夜勤なので、もちろん夜勤手当がつくのも嬉しいです。
日勤のみでは、助産師とはいえ手取り20万ないことも…!(こぐま新卒時代)
夜勤をしないと給料が上がらないという“看護師あるある”が、助産師にも当てはまります。
分娩手当があるところでは、夜勤手当にプラスして、お産があれば分娩手当もつくよ!
夜はお産にあたりやすくて分娩手当がつくし、夜勤手当もつくから、嬉しい!
日中ゆっくり過ごせる
産婦人科に限ったことではないですが、夜勤前後の日中にゆっくり過ごすことができます。
日中の時間が貴重な助産師ママ、看護師ママにとっては、夜勤は選択肢の一つになると思います。
産婦人科夜勤の流れについて、
写真付きでわかりやすいページがあったので紹介します!
大まかな流れではありますが、かなりイメージがつきやすいと思います。
夜勤明けの産婦人科病棟から~夜勤3人のチームワーク~東京ベイ・浦安市川医療センター『(https://tokyobay-mc.jp/nursing_blog/web04_30/)』
助産師ママ、看護師ママが、夜勤と夜勤を両立するためのおすすめ方法3選
産婦人科の夜勤。
怖いところもあるけど、良いところもあるというのは、わかりました。
でも、子どもがいて夜勤って、どうしたらいいのかな?
助産師ママ、看護師ママが、夜勤と家庭を両立するためのおすすめ方法を紹介します。
夫に子どもを見てもらう
多くの人にとって、一番身近な家族かと思います。
同じ家に住んでいるので、家事や育児を任せやすいです。
夫(パパ)の仕事の都合だったり、育児スキルなどによりますが、任せられれば一番心強い存在です。
実家、義実家に子どもを預かってもらう
実家、義実家が近くにあれば、そこを頼る方もいらっしゃいます。
両親、義両親にも生活があり、働かれている場合もあります。
「自分たちでは何をするのか」「相手に何をお願いするのか」、この擦り合わせが大事になります。
お風呂入れ、仕上げ磨きなど、両親、義両親では出来ないこと、苦手なこともあるので、子どもの世話の中で妥協することも必要になります。
院内保育所、院内託児所を利用する
働いている病院の中に、夜間対応をしてくれる院内保育所、院内託児所があれば、それを利用する方法があります。
通勤以外に寄る必要がないので、送迎にかかる時間がなくて楽です。
同じ職場内に子どもがいるという安心感もあります。
ただ、勤務前後は子どもの世話をしないといけないので、眠れないという辛さがあります。
ベビーシッター、認可外保育所は、慣れていなければおすすめしません
子どもが慣れていれば、ベビーシッター、認可外保育所を利用するのもありです。
ただ、慣れていないのであれば、子どもが安心できる環境になりづらく、子どもにとってストレスとなる可能性があります。
前もってベビーシッターさん、認可外保育所を利用する、見学にいくなど、子どもが少しでも慣れるようなケアは必要だと思います。
これらは夜勤だけでなく、
早出業務・遅出業務など時差出勤をするにあたっても、肝になってきます。
夜勤・時差出勤をするにあたり『誰と』『何を』調整するのか。
こちらで詳しく解説しています。
『子持ち助産師だからといって、働き方は日勤のみではない。夜勤・時差出勤もアリです。』
【4人の実例あり】助産師ママ、看護師ママが、夜勤と家庭を両立している実例紹介
たしかこぐまさんも、子持ちで夜勤をしてたよね?
こぐまは、子どもが1人のとき、月4回夜勤をしていました。
その時の職場では、子どもが3人でも夜勤をしていたり、
子どもが小さいとき限定で夜勤をしている助産師、看護師さんがいらっしゃいました。
月4回夜勤?子ども3人いて夜勤?小さいとき限定夜勤?
どういうこと?どういうこと??
順番に紹介しますね。
こぐまの場合:日中は保育園を時々利用。夜間は実家に子どもを預ける。
日中は子どもを自宅で見たり、保育園を利用していました。
自宅であればなるべく一緒に昼寝をして、保育園利用時であれば昼寝後にお迎えに行きました。
その後は、自分と子どものお風呂を済ませます。
夕飯も準備はしますが、食べるには早かったので、弁当にします。
そして、出勤前に実家に寄り、子どもと弁当を預けてから、出勤していました。
夜勤明けは実家に寄って子どもを受け取り、午後から一緒に昼寝をしていました。
朝子どもが起きるのが遅ければ、その日は昼寝をしないかもしれません。
そういう時は、自分が仮眠をとってから実家に行くようにしていました。
このやり方は、子どもが1人だから出来たこと。
2人になると、実家の負担も大きくなるので、夜勤は出来なくなりました。
Oさん:日中は自分、夕方はご主人が子どもを見て、夜中はベビーシッターにお願いする
お子さんが3人いらっしゃるOさん。
Oさんの場合も、日中は時々保育園を利用したり、上の子は小学校に行っていました。
ご主人が自営業ということもあり、夕方からはご主人に完全にバトンタッチ。
ただ、ご主人も次の日仕事があり、夜はゆっくり眠りたいらしく、夜中は自宅にベビーシッターを呼ぶことが多かったそうです。
ベビーシッターを一晩雇うお金を考えると、夜勤をしても少し赤字になるんだけど…。
シフト上仕方なかったし、夜勤前後の日中にゆとりが出来るから、夜勤してたそう。
Sさん:日中は自分、夕方から認可外保育所に預ける
子どもが小さいとき限定で、夜勤をされていたSさん。
小さいときというのは、生後数か月~生後半年頃とのこと。
人見知り、場所見知りがない月齢というのがポイントだったそう。
「夜は時々ここで眠るのね」というように、夜認可外保育所に行くことがスムーズだったそうです。
夜認可外保育所を利用する分、夜勤前後は自分で子どもの世話をされており、それが大変。
ただ、ご主人がいれば任せるし、その日辛くても次の日は保育園を利用するので、それで休みも取れていたそうです。
夜勤明けの次の日は、Sさんは休みですが、夜勤関連として保育園を利用されていました。
たしかに昼子どもを見て、夜も働いて、また昼子どもを見て…というのは、辛いよね。
Bさん:送迎ともにパパに頼める「千葉県千葉リハビリテーションセンター ある子育て中の看護師」
他記事でも紹介しましたが、日勤、早出業務、遅出業務、三交代夜勤をこなしている、子持ち看護師さん。
ご主人が朝夕とも、サポートできることがポイントです。
夕食後の片付け、仕上げ磨きなどはご主人に任せて、深夜出勤。
翌朝の食事や保育園の送りも、ご主人がされています。
準夜出勤の際は、夕食や、保育園の迎えはご主人がされています。
『千葉県千葉リハビリテーションセンター ある子育て中の看護師(https://www.chiba-reha.jp/department/nurse/kangosi/)』
日勤、早出、遅出、準夜、深夜勤務がある1週間の、細かなタイムスケジュールが載っています。仕事と家庭の両立が理想的。
三交代夜勤ではありますが、早出業務・遅出業務、夜勤を検討している方は必見です。
めちゃくちゃ理想的…!
ご主人のサポートが得られると、本当に働きやすそう。
本当に理想的過ぎて、全員が真似できるやり方ではないですが…。
取り入れられるところは、あるかもしれませんね。
まとめ “大変以上のやりがい”があるのが、産婦人科の夜勤です
【産婦人科夜勤と、他の診療科夜勤の比較】
<仕事内容が同じもの>
・検温、採血、点滴、見回り、配膳、下膳
<仕事内容が違うもの>
≪産婦人科夜勤にないもの》
・食事介助、排泄介助、配薬、認知症対応
≪産婦人科夜勤特有のもの》
・分娩、授乳介助、育児支援、新生児の世話
・電話対応、診察介助
・緊急手術(帝王切開)、緊急輸血
【産婦人科夜勤をしていて、良かったこと、おすすめできるポイント】
・分娩がなければ、ゆっくりママと関わることができる
・分娩にあたりやすい
・夜勤手当がもらえる
・日中にゆっくり過ごせることが多い
【助産師ママ、看護師ママが、夜勤と家庭を両立するためのおすすめ方法3選】
・夫に子どもを見てもらう
・実家、義実家に子どもを預かってもらう
・院内保育所、院内託児所を利用する
産婦人科夜勤特有の大変さはあります。
ただ、他の診療科夜勤と変わらない仕事内容もあるし、産婦人科夜勤ならではの喜びもあります。
助産師ママ、看護師ママにとっては、家庭との両立に壁がありますが…
夜勤ができる環境、サポートがあるのであれば、一度検討してみてほしいです。
こぐまは、産婦人科は“大変以上のやりがい”があると思っていますよ!
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子持ち助産師だからといって、働き方は日勤のみではない。夜勤・時差出勤もアリです。
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